歯の表面では食事のたびにいったい何がおこっているでしょうか?
歯の表面は、プラーク(歯垢)でおおわれており、このプラークの中には虫歯の原因となるミュータンス菌やラクトバチラス菌が住んでいます。
これらのプラークの中の虫歯菌は、食べたり、飲んだりしたものの中に含まれる炭水化物や糖を利用して、歯を溶かす「酸」を作ります。この酸によって歯からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶けだします。この働きを「脱灰」と呼びます。
正常なお口の中では唾液の働きによって唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンが再び歯の表面に沈着するので歯が破壊されることはありません。この働きを「再石灰化」といいます。
食事のたびに「脱灰」と「再石灰化」は常に繰り返されているのです。
健康な状態では「脱灰」と「再石灰化」の力は拮抗していることになりますが、「脱灰」に働く力が強くなったり、「再石灰化」に働く力が弱くなったときには脱灰が進んで歯が溶かされ、虫歯ができてしまいます。
■「脱灰」に働く力が強くなる因子は?
- ミュータンス菌 ラクトバチラス菌
- 飲食回数
- プラーク(歯垢)量
- 萌出したての永久歯
- 親の無理解・無関心 など
■「再石灰化」に働く力が強くなる因子は?
- 唾液分泌量
- 唾液緩衝能(酸を中和する能力)
- フッ素の使用
- 成熟した永久歯(エナメル質)
- キシリトール など
食事とpHの関係
食事をとると、プラーク中のpH(ペーハー)は酸性になり脱灰が始まります。この脱灰の時間が長くつづいたり、酸性度が強いほど虫歯の危険が増加します。
唾液の力によって約20~40分間でプラーク中のpHが上昇し、再石灰化が始まります。
食事をするたびに脱灰がおこります。三度の食事と1回の間食をする、きまり良い食生活では、トータルで脱灰の時間が少なく、再石灰化のための時間は長くなるため虫歯の危険は少なくてすみます。しかし、間食の多い食生活ではトータルの脱灰時間が長く、再石灰化の時間がすくないので虫歯の危険が増加します。
寝る前の飲食は最も危険です。寝ている間も唾液の分泌が低下するので、再石灰化の力がうまく働かないためです。